ビタミンKと並んでビタミンの中では比較的マニアックな存在のビタミンD。
このビタミンは日光を浴びることで作られるというかなり特殊な生合成で生み出され、カルシウムの吸収や放出の際に重要な働きをするとして知られています。
今回はこのビタミンDの働きと日光を浴びることの重要性を見ていきましょう。
ビタミンDの生合成と働き
ビタミンDは日光を浴びることによって作られる!
ビタミンDは食品からの摂取ももちろん可能なのですが、生合成の際の最大の特徴としてはその8割以上が「日光を浴びる」ことによって作られることが挙げられます。
日光に含まれる紫外線を浴びることで一部の体内コレステロールがビタミンDに変化され、補酵素作用を持つようになるのです。
このビタミンDの生合成に必要な紫外線の量は、季節や緯度によって異なり基本的に夏や低緯度の地域では紫外線が多く、冬や高緯度の寒い地域では紫外線が少なくなる傾向にあるため、紫外線の少ない地域にお住いの方は多少注意が必要です。
ビタミンDの補酵素としての働き
生成されたビタミンDは脂溶性であるため肝臓に貯蓄され、必要な時に補酵素として働きを開始します。
補酵素としてのビタミンDの主な仕事はカルシウムの循環です。
牛乳など体外から摂取された必須ミネラルであるカルシウムを腸で吸収する際に補酵素として吸収をサポート、また血液中に存在しているカルシウムを骨に吸着させる仕事もサポートするため、ビタミンDが不足すると骨粗しょう症や成長障がいなどのリスクが高まります。
カルシウムは私たちの体に欠かせない必須ミネラルではありますが、集中的に摂取しすぎると結石ができやすくなったり、腎臓病、高カルシウム血症などの健康被害が出ることがあります。ビタミンDは血中のカルシウム濃度を適宜調節する働きもあるので重要ですね。
ビタミンDを作る日光浴の重要性
ビタミンDを作る
これは上記した通りです。体内でのビタミンDの生合成は日光をたくさん浴びることで行われます。
セロトニンの生合成
日光を浴びることによって脳内で自律神経間の受け渡しを担っている神経伝達物質「セロトニン」の分泌を促すことでも知られています。セロトニンの分泌量が少なくなると自律神経の不調を起こしやすくなり、悪い場合はうつ病などに罹ってしまう可能性もあります。
自律神経のスイッチにもなる
人間の自律神経は交感神経と副交感神経の2つが交互に作用することによって保たれています。交感神経は日中の仕事や勉強時に活発になり、副交感神経は夜寝ている時など体をリラックスさせるときに活発になります。
この自律神経を切り替える要因になるのは運動や睡眠、深呼吸など様々ありますが、日光を浴びることも自律神経のスイッチの一つであることが分かってきています。朝起きて日の光が目に入る事で脳が交感神経のスイッチを入れ、十数時間後、その人がいつも寝ているタイミングで副交感神経に切り替わるようになっているそうです。
リズム良く規則正しい生活が推奨されるのはこういう理由もあったんですね。
ビタミンDの過剰摂取と欠乏症
ビタミンDが含まれている食材
魚類やきのこ類など数多くの食材に含まれていますが、ビタミンDのメインの生合成は日光を浴びることで作られるので食材からの摂取はそれほど気にしなくてもいいでしょう。
ビタミンDの欠乏症状
ビタミンDが欠乏すると骨粗しょう症や成長障がいなど主に骨の形成に大きな影響を与えます。子供だと「くる病」など重大な疾患になってしまうこともあるので、カルシウムとビタミンDの摂取、生合成量には気を配った方がいいでしょう。
しかし適度に外に出ていて普通の食生活を送っていればそんなに欠乏症状の心配は少ないと言われています。ただ子供や、代謝が落ちてビタミンDの合成が不十分になった高齢者、日光をほとんど浴びないような生活をしている人などでは欠乏症状が起こることがあるので気を付けましょう。
ビタミンDの過剰摂取症状
ビタミンDは脂溶性のビタミンであるため比較的体内に残る期間が長いビタミンです。カルシウムと合わせてビタミンDをサプリなどから集中的に摂取すると血中のカルシウム濃度が極端に多くなり、吐き気や胃腸障害、腎障害などを引き起こすことがあります。
普通の食生活をしていればあまり過剰摂取の心配はありませんが、サプリなどを使っている人は一日の摂取量をしっかり管理することが必要です。
・ビタミンDはカルシウムの吸収に関わる補酵素!
・ビタミンDは日光を浴びることによって作られる珍しいビタミン
・食事で摂取するよりも日光を浴びてビタミンDを作ることが重要